キャッチャーミットの湯もみ型付け

使い込んではいたが、関節とポケットが形成されてないために捕球に難のあるキャッチャーミットの型を付け直したので、筆者のノートも兼ねて以下に工程を記す。

 

コンセプトとしては、誰でも試合でも使える便利なミットということで、

1.気持ちよくボールを掴めること

2.安定したホールド力で、フレーミングしやすいこと

3.手のひら、土手でも充分に捕球でき、握り替えがスムーズにできること

この3点を目指した。

 

 

道具を用意し、お湯をバケツにためる。

 

たたき台は、バスタオルや座布団、マットを重ねて、濡れないようにビニールやごみ袋を敷いたもので充分だ。

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お湯の温度は45℃~48℃、手を浸すと少し熱いくらいが丁度良い。

 

ミットを手口側から湯の中へ浸す。湯の中で、関節を意識しながらほぐしていく。今回は柔らかいので30秒くらいだが、新品の硬いものは1分くらいでも良い。

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お湯から出し、少し絞ってここから本格的な作業に入る。

 

ミットの関節を形作ることを意識しながらほぐし、折り目を付けていく。

 

グラブハンマーを用いて、関節に沿って叩き、関節となる折り目を付けていく。

 

型付けというと、ポケットに意識が向きがちだが、手の構造や、様々な捕球の形を意識した関節が形成されていないと、ポケットの形成も怪しくなる。良い関節を持ったグラブは、捕球も安定する。良い関節が、良いポケットを作るのだ。

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関節が十分にできてきたら、次はポケット作りだ。

 

捕球を意識して、ひたすらたたく。

 

様々な場面を想定して、ポケット以外も叩く。

 

おおむね1時間くらいの作業で、中に手を入れても温もりを感じなくなったら、ミットを乾かす。日光を避け、風通しの良い日陰に吊るしておく。

 

1日干したミットがこちら

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捕球面、背面は乾いているが、中はまだ湿っている。

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関節はある程度できている。

 

湯もみ翌日のこのミットをビニール袋でくるみ、レンジで500W、1~2分間加熱させる。

 

裸で入れず、くるむことで、革の保護、また簡易スチームという意味合いがある。

 

手を入れて、中がホカホカになるくらいまで温まったら、また関節をほぐし、捕球面を叩く。

 

冷めたらまたレンジでチン、これを2~3回、関節とポケットの塩梅をみて行う。

 

レンジでチンはこの日のみ、あとは1週間ほど陰干し。

 

そして水分が十分に抜けたら、液体オイルを捕球面、背面に塗り込んでいく。

 

重さを測って、水分の抜け具合をチェックするのもよい。

 

湯もみして、乾燥した革はオイルを良く吸うので、塗りすぎに注意。重くなる。

 

オイルを塗りこんだらもう一日陰干し。余計なオイルを抜く。

 

あとは捕球あるのみ、使いながらポケットはできていく。

 

 

以上がミットの湯もみ型付けの一工程の例である。

 

型付けの要は、とにかく関節づくりである。

 

捕球した状態から逆算して、作業に挑んでほしい。

 

なお、実際にやったことに対する責任は筆者は負いかねない。